机の上の書類の山…山!…山!!
処理しても、処理してもっ、紙で出来た山は、机の木目を見せてくれない。
そして最近、新たな書類の小山が出現した。
その小山は、“昭●新山”級の急成長っぷりだ。
人手は増えている…仕事量も、前より多くこなしている…
なのに…
「おい、スコール」
前よりも紙の山が高くなっているのは…
ドン!
目の前の紙の谷地に、10本の指が出現した。
大きな男の手…。
この手は嫌いじゃない。
だが…
「スコール!聞いてんのか!?」
「…なんだ?」
「しかめっ面ばかりしてっと、せっかく綺麗な顔にシワが刻み込まれるから止めろって言ってんだ」
「…あんた…そこに出来た小山がなんの書類だか知ってるか?」
「あ〜?」
「…あんたに見せたいものがある」
小さな鍵をポケットから取り出す。
机についている大きな引出しを開けると、そこには…整頓されたファイルがビッシリと並んでいた。
50冊は入っているだろう。
背表紙には全て同じタイトル
×-FILES
「エックスファイルってなんだ???」
「そこにある、小山の処理済書類がこのファイルの中身だ。」
ずいっとファイルを束で男に押しつける。
男はファイルに目を通し…目を泳がせる…
「それは、“エックスファイル”と読まない…なんて読むか分かるか?」
「…ま、来ちまったもんは、仕方ねえだろ?」
「……。」
「どうせ仕事すんなら、楽しくやろうぜ〜?」
「コレは…」
「ったく…クライアントめ、念入りに口止めしたのに…」
ゴッッ!!
<×−FILES>、十数冊が男の頭に炸裂した。
「イッテ〜!!おい!角が当たったぞ!!!」
「当たり前だ!ワザとやったんだ!!」
どの書類よりもタチが悪い。
処理するにも、核弾頭並の慎重さが必要なその書類の名前は
「苦情書」
またの名を-----
「サイファー…これは、あんた1人分の苦情書…
ペケ・ファイルだ!!」
残り、30冊以上の<ペケ・ファイル>がサイファーの頭上に降り注いだ…。
モ〜〜〜〜〜ッ
牛が自分の尾でハエを追い払っている。
あの後…
「あんた、田舎のボケボケ空気で血の気抜いて来い!!!」
の一言で俺は小さな村に飛ばされてしまった…。
場所はウィンヒル。
何もない…。
その何もない村での俺の仕事は…牛の世話…。
「長閑だ…長閑すぎる…。」
ウモ〜〜〜〜〜ッ
「っ!!さすがはスコール…俺を知っている。精神ダメージの与え方は間違っていないぜ!」
最初の数日間は物珍しさで何とかなった…。
さすがに1週間ともなると泣きたくなる。
暇で泣きたいのではない…
ぼとぼとぼとぼとっ
いつのまに近寄ったのか、1頭の牛がサイファーの真後ろで排便を始めた。
白いコートに、ビチビチと茶色い●●●が付着する。
よく見ると、今付いたものではない●●●な跡がアチコチにある。
「こ〜の〜や〜ろ〜〜〜〜〜〜っ!!!!!」
1頭の大きな乳牛と目が合う。
バチバチと音が出そうなにらみ合いが始まった。
初日からコイツとは天敵だった。
巨体のクセに、気配を感じさせず忍び寄るコイツは、3回に1度は俺に糞を浴びせる事に成功させている。
脅威の乳牛だ!
「今日こそ、我慢できねえ!美味しく牛肉にしてやる!!」
「ウモ〜〜〜〜〜ッツ」
ハイベリオンを片手に戦闘体制に入ったとたん、あたりが光に包まれた。
なぜか身体に浮遊感を感じる。
足元を見ると…地面が10mくらい下にあった。
「まさか、浮いてるのか!?」
恐る恐る上を向くと銀色の円盤…
中心から出ている光に、俺と乳牛は吸い込まれ…意識はそこで途切れた…。
数時間後、バラムガーデンにウィンヒルから通報が入る。
《 UFOにサイファー及び牛1頭が誘拐された 》
2001.04.03