| ホシウタ |
外伝01
BLUE THE BLUE

足りない
何かが足りない

魔女を倒し、平和になって、彼女も出来て
望んだわけじゃないけど、“伝説のSeeD”と世界的に有名になった
やっぱり望んだわけじゃないけど、自分の出生が明らかになって…
しかも父親は一国の大統領
誰もが羨むものを俺は全て手に入れた

それなのに
足りない
何かが足りない

心の一部が干からびたように乾いている
そして、その渇きは全身にじわじわと拡大していく
今、俺の周りにあるものではダメだ
この渇きを止めるとこが出来ない

いつから俺は、こんなに貪欲になったのだろう?






「それでね、ゾーンとワッツがね〜〜で〜〜したんだよ」

「…そうか」



すでに話し始めてから2時間半。
今夜もリノアの電話は長い。
何故、毎日こんなに話すコトがあるのだろう?
俺なんか、会話するのに、頭の中で考えて考えて考えて考えて考えて…最後には何を考えていたのかワケがわからなくなっているというのに。
こんなに、しゃべり続けて
しかも同じ内容は1つもないなんて、呆れ…いや、驚く。
どうすれば、こんなに喋ることが出来るんだ?
っていうか、毎晩こんなに遅くまで電話してて大丈夫なんだろうか?
毎日、朝から晩まで、ママ先生から魔女の指導を受けてるんだろ。
たぶん体だけでなく、精神も疲労してるはずなのに…
心配だ

―――っていうか疲れた…早く寝たい。



「ねえ、スコール!聞いてるの!?」



俺の相槌が途切れたことに目ざとく気付いた彼女が俺の名を呼ぶ。



「…リノア」

「な〜に???」



俺が彼女の名を呼ぶと、途端に上機嫌になる。
滅多に俺から話すコトが少ないせいだ。
わかっている。自覚はあるんだ。
でも・・・



「毎晩毎晩こんなに長電話して疲れないのか?」

「…………」



受話器の向こうで沈黙する。
何だろう?
受話器から何故か冷気が吹き付けてくるような…
デジタルな回線からそんな現象が起きるはずもないのに、確かに背筋が凍るような冷たい空気を感じた。
背中がモンスターの殺気を感じた時のようにザワザワする。
咄嗟に目でガンブレの位置を確認し、慌てて思いとどまる。



「リ…ノア?」



そして、数十秒の沈黙の後、恐ろしく低いトーンが受話器から響いてきた



「そう…スコールは私と話したくないんだ」

「ち、違う。そういう意味じゃなくて」

「お互い忙しくて会えないから、せめて電話でハナシだけでもって思ったのに」

「リノア、俺はただ…」

「そういえば、スコールの方からは1度も電話してくれないよね。だからいつも私の方からしてたのに…そう。ふ〜ん…迷惑だったんだ」

「それは…」



俺から電話?
そういえば、したことがないな。
でもそれは、いつも遅くまで仕事してるからで、夕飯を食たりシャワーを浴びて落ち着いたところへ丁度リノアから電話が来るんだ。
でも、今のリノアにそう言っても信じてもらえるかな?
無理だろうな。全く俺の話を聞きそうもないし…
はぁ…それに説明するのも面倒だ。
疲れて眠いし、今晩はこれに乗じて寝てしまいたい。
明日謝れば済むはなしだ。

だが、この場合、ちゃんと言った方が良かったらしい。
俺は選択を間違った。



「スコール・・・言訳もしないんだ。もういい!別れてやる!!」



ガシャン
ツーツーツー…



「え?リノア!?」



何が起きたのか…唐突すぎて、頭の中が真っ白くなった。
別れる?
俺は受話器を握りしめ、ツーツーという電子音を呆然として聞いていた。


と同時に、スコールの部屋の近くでニヤリと笑う不信人物が1名。
ガーデン外壁の丁度カーブがかかった部分。
窓からも外からも死角となる窪み。
そこに身を潜め、小さなアンテナが付いた機械を操作する姿はスパイそのもの。
が、身に付けている物は黒一色ではなく、スパイらしからぬ白のロングコート。
更に月夜に照らされ、はっきり目立つ見事な金髪。



「くくくっ。ようやくチャンス到来だな」



耳からイヤホンを外し、目前の小さなモニターを見る。
映し出されているのは、先の闘いで名を上げた“伝説のSeeD”
バスローブ姿で受話器をじっと見詰めて佇んでいる。

モニターの電源を落とし、ゆらりと立ち上がった。
窓の隙間から漏れる細い光
あの先にスコールはいる
幼い頃から気になっていた存在
これが恋だと気付いたのは数年前


「前みたく額にマーキングだけで終わらせねぇぞ。今度こそ俺のモンにしてみせるぜ」


雲に隠れた月が現れ、ガーデン全体を照らし出した。
偶然なのか、スコールの部屋に向かう足場までも青白く浮き上がっている。
まるで、これからの行動を祝福しているかのように…


「今行くぜ、スコール。」


NEXT02


ホシウタ本編の前の話です〜*
なんつーか、本編を打ち込んでいたら、ちょっとリノアが気の毒なので活躍させようと書き始めたハズなのに・・・よけい可哀相なことになってないか???
仕方ないコトだが・・・ここ、サイスコだし(爆)
それよりも第二部の続きは!?って突っ込まれそうな気がする(汗)
打ち込みたくても時間も体力もないのら〜(T▽T)
うを〜〜!冬休みが欲しいぜ!

2002.12.17

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