「判決」
「被告、サイファー・アルマシー」
「魔女に荷担し」
「多くの人々を死に至らしめた罪により…」
「 有 罪 」
「冷凍睡眠による500年間、外界との関わりを隔絶」
「尚、この刑は、直ちに執行する」
裁判長の感情の伺えない声が響く。
室内の聴衆者は、国の要人達とガーデン責任者だけだった。
聴衆希望者が殺到した為、一般市民は外の巨大なモニターで聴衆している。
今の判決で、外にいるはずの聴衆者の声がここまで届いた。
シドに付き添われたイデアが立ちあがった。
静まりかえった室内に倒れた椅子の音が大きく響きわたる。
「待ってください!!この子は私と同様、未来の魔女に操られていただけです!!500年なんて…」
「イデア・クレーマー、座りなさい。本来ならばアナタも同等、いや、それ以上の罰を受けなければいけない」
「はい」
「人々も納得しないだろう」
「…はい」
「だが、若き魔女を育てられるのはアナタだけだ」
「…」
「アナタには、現世を生き、糾弾されることで罪を償ってもらう」
「はい…サイファー…ごめんなさい…私の意思がもっと強ければ、こんなことにはならなかったのに…」
「まま先生」
俺の呼びかけで、泣き崩れたイデアが顔を上げる。
魔女が乗り移っていた頃の禍禍しい姿と全く違う清楚な女性。
「それでも、これは俺達が招いたことだ。俺達が無罪になったら、肉親を殺された人間の怒りはどうしたらいい?」
「でも…」
「死刑にならなかっただけでも、情状酌量なんじゃねえの?」
「…でも…あなたが目覚めた時…知った人間は誰もいない…」
俺は何も言わずに天を仰ぐ。
ふと、脳裏に浮かんだ一つのコトバ
『一人でも生きていけるように強くなる』
そんな誰かの言葉を思い出し、口の端に笑みが浮かんだ。
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2001.07.07