魔女…アルティミシアの体から淡い光が放出された。
魔力の継承
ママ先生に光が終結し、アルティミシアの体が空気に熔け込む。
アルティミシアが消滅寸前に俺を見つめ…
そして、泣きそうな顔でささやいた
「お願い…もう、断ち切って…もう繰り返さないで…」
俺は、その言葉の真実の意味がわかっていなかった。
『ココ』から全て始まるのだ
バラム・ガーデンにおけるX-Day
2ヶ月前の出来事
『伝説のSeeD』 スコール・レオンハート
そして、『魔女』 リノア・ハーティリー
バラム・ガーデンには、この2人を知らない者はいない。
スコールはガーデンの指揮官であり、優れたSeeDで生徒達の目標とすべき人物だ。
リノアは、その憧れの人物の恋人であり、この世でただ一人現存する『魔女』。
何かの物語に出て来そうな-----夢のような無双のカップル-----
誰もが、そう思った。
だが…スッタフロールが終わり、めでたく完結にはならなかった。
祝賀パーティーの翌日、事件は起こった。
「では、リノアさん。魔女の訓練を始めます」
「はい。イデア先生、お願いします♪」
学園祭の野外ステージがあった場所で、リノアの魔女訓練が始まった。
ちょっとした広場になっているから訓練には適しているだろう。
仕事も学科もオフだった俺は、彼女の訓練に興味があり見学に来ていた。
「スコールvvv見ててね!私、頑張るから〜!!」
手を振る彼女に俺も手を上げ応える。
俺も『魔女の騎士』候補だからな…早く、彼女には一人前になって欲しい。
「それでは、リノアさん。魔力を使って風を起こしてみましょう。意識を大気に融け込ませて…魔力を干渉させるのです」
「意識を…大気に・・・……」
「そう。集中して」
肌がピリピリしてきた。
大きな魔力が動いているのが感じる。
っていうか・・・空気に重圧を感じる。大丈夫なのか?
「アラ?…リノアさん…ちょっと待って!」
「風よ、吹けェ〜〜〜〜〜〜〜!!」
ママ先生の静止は…
間に合わなかった…。
空気が震える。
俺は咄嗟にガーデンにいる全G.F.に呼びかけた。
「生きているものは全て守れ!!」
ジャンクションしていないものに呼びかけるのは初めてだった。
だが、予想以上の反応が返ってきた。
精神呼応と共に急速にMPが吸い取られる。
(間に合うか!?)
ズウゥゥゥゥン…
よく晴れた清々しい午後の昼下がり…バラム・ガーデンは、突然巨人に踏みつけられたかのようにひしゃげ、半壊した。
阿鼻叫喚。
まさしく地獄絵図…。
魔女訓練初日の魔力大暴走。
…リノアは、究極の魔法オンチだった。
ガーデン内に『ソレ』を起こした人物が判明したのは数時間後のこと…
夢のような無双のカップル?
この日、“ウマイ話しにはオチがある”というコトをガーデン在校生達は、身をもって体験したのである。
だが、さらなる悲劇がバラムガーデンに降りかかるとは、この時、誰も思っていなかった…。
NEXT 02
2001.06.02