更新日:2001.08.22
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僅かな気配を感じ、目が覚めた。
時計を見れば、AM3:30…
まだ深夜といってもおかしくない時間だ。
カタンと小さな音がする。
隣室のリビングからだ。
ゆっくりとベットから起き出し、護身用の銃を片手にドアへ忍び寄る。
殺気は感じない。
だが、足音を感じさせない歩き方といい、かなりの使い手だ。
(ガーデン生か?いや、違うな。ドアの暗証番号は俺以外にはサイファーしか知らないはずだ。そのサイファーも任務で不在だし…)
呼吸を整え、ドアの開閉スイッチを押し、一気に踏み込む。
「動くな!壁に両手をつけ!!」
「わわわ!スコール待て!!俺だよっ!!」
暗闇の中から、知った人物の慌てた声が聞こえる。
部屋の明かりを点けると、明日までサイファーと一緒に任務のはずだったゼルが、手を上げ青ざめていた。
緊張を解き、ため息をつく。
「…ゼルか…こんな時間に何やってんだ?」
「もう時間過ぎちまったけど、スコールの誕生日だっただろ?いろんなヤツからプレゼントを預かってきたんだ。明日の朝渡すよりも、ちょっとでも早いほうがいいかな〜って思ってよ」
リビングのテーブルを見れば、色とりどりの箱や袋が並べられている。
「馬鹿だな…間違って撃ってたら取り返しのつかないことになってたぞ」
「悪い。でも、さすがだな。寝てたんだろ?いつから気づいた?」
「俺達は、そういう風に訓練されたSeeDだ。入ってきたときから気づいたさ。人の気配で起きれないようならSeeD失格だ」
「愚問でした、指揮官殿。…でもよ、スコールも無用心だぜ?」
「なに?」
「部屋の鍵、開いてたぞ」
「は?」
鍵が開いてた?
寝るとき、確かに閉めたはずだ…まさか…
「ゼル、アンタ明日まで任務のハズだったな?なんで1泊してこなかったんだ?」
「それがよ〜、サイファーがどうしても今日帰るって聞かなくてよ。徹夜の強行軍で帰ってきたんだぜ。参るよ、ホント…」
「なるほど…わざわざ済まなかったな。ゆっくり休んでくれ」
「マジで疲れたぜ。じゃあな」
ゼルが部屋から出て行くのを見送り、ドアをロックする。
指揮官になってから、鍵をかけるのは習慣づいている…
なのに開いていたとすれば…
ゆっくりと寝室へ足を向ける。
起きた時には気づかなかったが、ベットのサイドテーブルに、紙袋が無造作に置かれていた。
中身を覗いてみると…ガンブレードの改造アイテムがドッサリ入っている。
一番上にノートの切れっぱし入っていた。
手に取り、書いてある文章に思わず吹き出す。
【 だまって使え 】
「アンタらしいっていうか…全然気づかない俺も問題有りだよな」
苦笑しながらベットを見る。
ベットには、いつに間に潜り込んだのか、サイファーが安らいだ顔で眠っていた。
傍にいることに慣れてしまった気配。
それは空気のように自然で、お互いの存在が安らぎを与える場所。
ぐっすり眠るサイファーに顔を寄せ、唇にキスを贈る。
「おかえり。どんなプレゼントよりも、アンタが帰ってきたことが何よりも嬉しい…って、絶対起きてるときには言えないセリフだな」
一人赤くなりながら、サイファーの隣に潜り込んだ。
幾分も経たずに眠りに落ちたスコールの横で、ニヤケるサイファーの姿があった…。
HAPPY BIRTDAY〜*
END
あとがき
別の小説を2本同時に書いてる途中に
浮かんだハナシ
1時間で書きあがったよ(笑)
っつ〜か、あと2本間に合わねーーーっ!!
ちひろ