| 安らぎの場所 |

更新日:2001.08.22

*****

僅かな気配を感じ、目が覚めた。
時計を見れば、AM3:30…
まだ深夜といってもおかしくない時間だ。

カタンと小さな音がする。
隣室のリビングからだ。
ゆっくりとベットから起き出し、護身用の銃を片手にドアへ忍び寄る。
殺気は感じない。
だが、足音を感じさせない歩き方といい、かなりの使い手だ。


(ガーデン生か?いや、違うな。ドアの暗証番号は俺以外にはサイファーしか知らないはずだ。そのサイファーも任務で不在だし…)


呼吸を整え、ドアの開閉スイッチを押し、一気に踏み込む。



「動くな!壁に両手をつけ!!」

「わわわ!スコール待て!!俺だよっ!!」



暗闇の中から、知った人物の慌てた声が聞こえる。
部屋の明かりを点けると、明日までサイファーと一緒に任務のはずだったゼルが、手を上げ青ざめていた。
緊張を解き、ため息をつく。



「…ゼルか…こんな時間に何やってんだ?」

「もう時間過ぎちまったけど、スコールの誕生日だっただろ?いろんなヤツからプレゼントを預かってきたんだ。明日の朝渡すよりも、ちょっとでも早いほうがいいかな〜って思ってよ」



リビングのテーブルを見れば、色とりどりの箱や袋が並べられている。



「馬鹿だな…間違って撃ってたら取り返しのつかないことになってたぞ」

「悪い。でも、さすがだな。寝てたんだろ?いつから気づいた?」

「俺達は、そういう風に訓練されたSeeDだ。入ってきたときから気づいたさ。人の気配で起きれないようならSeeD失格だ」

「愚問でした、指揮官殿。…でもよ、スコールも無用心だぜ?」

「なに?」

「部屋の鍵、開いてたぞ」

「は?」



鍵が開いてた?
寝るとき、確かに閉めたはずだ…まさか…



「ゼル、アンタ明日まで任務のハズだったな?なんで1泊してこなかったんだ?」

「それがよ〜、サイファーがどうしても今日帰るって聞かなくてよ。徹夜の強行軍で帰ってきたんだぜ。参るよ、ホント…」

「なるほど…わざわざ済まなかったな。ゆっくり休んでくれ」

「マジで疲れたぜ。じゃあな」



ゼルが部屋から出て行くのを見送り、ドアをロックする。
指揮官になってから、鍵をかけるのは習慣づいている…
なのに開いていたとすれば…

ゆっくりと寝室へ足を向ける。
起きた時には気づかなかったが、ベットのサイドテーブルに、紙袋が無造作に置かれていた。
中身を覗いてみると…ガンブレードの改造アイテムがドッサリ入っている。
一番上にノートの切れっぱし入っていた。
手に取り、書いてある文章に思わず吹き出す。




【 だまって使え 】






「アンタらしいっていうか…全然気づかない俺も問題有りだよな」



苦笑しながらベットを見る。
ベットには、いつに間に潜り込んだのか、サイファーが安らいだ顔で眠っていた。
傍にいることに慣れてしまった気配。
それは空気のように自然で、お互いの存在が安らぎを与える場所。

ぐっすり眠るサイファーに顔を寄せ、唇にキスを贈る。



「おかえり。どんなプレゼントよりも、アンタが帰ってきたことが何よりも嬉しい…って、絶対起きてるときには言えないセリフだな」



一人赤くなりながら、サイファーの隣に潜り込んだ。
幾分も経たずに眠りに落ちたスコールの横で、ニヤケるサイファーの姿があった…。




HAPPY BIRTDAY〜*


END



あとがき

別の小説を2本同時に書いてる途中に
浮かんだハナシ
1時間で書きあがったよ(笑)
っつ〜か、あと2本間に合わねーーーっ!!

ちひろ

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