| ナチュラル|
更新日:2001.02.25
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《モンスター補充の為、使用禁止》
訓練所の扉に貼られた紙を見て、俺は扉を蹴った。
「ヒマだ。」
休日は自主練習かオンナの所に行くのがいつものお決まりコースだったが、3日前…今まで付合っていたオンナとは別れていた。
交際期間2ヶ月…まぁ、もったほうだ。
なんつ〜か、最初はいいと思うんだが付き合っているうちに「アレ?」って思っちまう。
結局は、まだ理想の相手に出会ってないってことだな。
「で、現在の問題は、『やることが無い』だ…。」
風神・雷神がいたら町にくりだしていただろうが、アイツ等は研修でキャンプに行って不在だ。
1人で町に行ってもヒマなことは変わらない。
「ちっ!バラム周辺のモンスターでも狩るか。あの辺のモンスターは飽きたが仕方ねぇ」
俺は、ガンブレードを片手にカードリーダーへ向かう。
1Fホールに出たとたん、いい暇つぶしになる男に遭遇した。
「よう、スコール!外でこの間の決着つけようぜ」
「悪いが、これからバラムに行く。訓練はパスだ。」
「なんの用事だ?」
「あんたに…言う必要ないだろ」
まあ、そりゃそうだが…
だが、ここで暇つぶしの相手を逃すつもりはない。
こんな時、俺サマの肩書きが役に立つ。
「俺は風紀委員だからな、一般生徒が禁じられた場所に行かないか聞く権利があるんだよ。」
「その『禁じられた場所』とやらにアンタが入るのを何度か目撃したぞ?」
うっ…どこで見てたんだ?
「と、言うのは噂だが、動揺したってことは行ったのか?」
「て、敵情視察だ。生徒が潜り込んでいないか巡回するのは当然だろ?」
ふ〜ん、といった感じで澄んだブルーグレイの瞳を向け、じっと俺を見た。
なにか見透かされたようでドキッとする。
最近、コイツの何気ない表情に心拍数が上がる…何かの病気かアレルギーだろうか?
「…もう行く」
「まて、俺も付き合う」
スコールが驚いた顔で振り向く。
俺も自分が咄嗟に言い出したことに驚いた。
そりゃそうだよな…俺達はガーデン公認(?)の犬猿の仲で有名だ。
ケンカ・訓練以外で一緒に行動するなんて青天の霹靂というもんだ。
なんだか自分にワケわからんが、どうせコイツは断るだろう。
「別に…構わないが…」
「!?」
「アンタ、自分で言い出して何驚いてるんだよ?俺、これからガンブレの改造に行くんだ。月刊武器にアンタのガンブレにも合いそうなヤツ載ってたから興味あると思って…行くつもりが無いんなら、あっち行けよ」
綺麗な顔を不機嫌にさせ、カードリーダーを通りぬける。
心の中がモヤモヤして気持ち悪いが、自然に同行を申し出たってことは一緒に行きたいんだろう。
ここは、自分に素直のなった方が良い。
自分のやりたいようにやるのが俺のモットーだ。
「待てよ、一緒に行くっていってるだろう!!」
俺はアイツの後を追いかけた。
休日のバラムは人でごったがえしていた。
なかにはガーデンの連中もいた。
俺とスコールが一緒に歩いているのを見て、まるで新種のモンスターに遭遇したかのような顔色で立ち止まった。
だが、俺達がジャンク屋に入ると一応は納得したような顔で再起動を始める。
その気持ち…わからなくもないが・・・自分でもワケわかんねーし。
ここまで来るのに、さすがに無会話じゃなかった。
お互いのガンブレードの気付いた点を話し合いながら来た。
本当は他人に武器の相談をするのはご法度だが、ガンブレードは特殊な武器でジャンク屋でも相談できるヤツはいなかった。
スコールは同じ武器を使っているだけあって、なかなか的を得たアドバイスをしてくる。
これだけでも同行は無意味じゃなかった。
スコールもそれは同じだったらしい。
いつも、しかめっ面で眉間に皺を寄せていたが、今は表情が柔らかい。
うっ……心拍上がってきた…発作か?
ジャンク屋に武器を預け、出来あがるまでその辺をプラつくことにした。
とりあえず、昼飯だな。
「どっかで食う予定があったか?」
「いや…いつもその辺の空いている所で済ませている」
「美味いトコ知ってるから、そっちで食おうぜ」
「任せる。」
伊達に今まで何人ものオンナと付き合ってきたわけじゃない。
各地の美味い店はチェック済だ。
コイツの場合、あっさり系が好みだろう。
「美味いだろ?」
「美味い。よくこんな店知ってたな」
「おいおい、何年バラムガーデンに居るんだよ?お前だって時々バラムに来ているだろ?ここは俺達がガーデンに入学する前からあるんだぜ?」
「別に…用事済ませたらすぐ帰っていたし、こっちの方には来ることも無かったから」
開拓心のないヤツだ…。
今まで休日はどうしていたんだ?
まさか、“寝てただけ”…なんてコトはねぇよな?
「わかった…改造終わるまで時間があるからアチコチ案内してやるよ」
洋品店には興味がなさそうだが、銀製のアクセサリーショップには興味があったようだ。
なにか目当てのものを見付けたらしく、こころなしか頬が上気している。
連れて来て良かったぜ。
今までにないくらい心が踊っていた。
どんなオンナと付き合ってってもこんなに楽しい気分にはなったことが無かった。
物色しているスコールに近づき声をかける。
「何か見つけたのか?」
「ガンブレードと揃いになりそうな指輪とネックレスを見つけたんだ。」
「買ってやろうか?」
「…なんで?」
ハッ!!俺…何言ってんだ?
これじゃまるで彼女に何か買ってやる彼氏サンみたいじゃないか!?
スコールも怪訝な顔をして俺を見ている。
…だが、腹水盆に帰らずだ…言ってしまったものは戻らねぇ…
「いや…なんとなく…。ついて来て楽しかったし、その礼ってことで」
「礼なんか要らない…俺も結構ガンブレのアドバイス貰ったからお互いサマだろ?」
「…そうだよな…」
会計に行くスコールを見送りながら自分の行動の不可解さに首を捻る。
自分の口が暴動を起こしているようだ。
知らないうちにUFOに攫われ、脳にチップを埋め込まれたかもしれねぇ…
俺、絶対にどこかオカシイ。
ガンブレ改造完成時刻になり、ジャンク屋に受け取りに行った。
「なぁ、ガーデン戻る途中にモンスターで試そうぜ?」
「そうだな」
帰る前に喫茶店で一服することにした。
スコールの胸元と指には、さっき買った“ライオン”とやらのアクセサリーがついている。
なるほど、ガンブレと同じデザインだ。
ライオンにこだわる理由を聞いたが…「なんでアンタに?」という顔をされた。
俺のロマ〜〜ンティックな夢のハナシを聞かせてもバカにしたような顔をして教えてくれない。
ケチな野郎だ。
コーヒーを飲んでいると3人の女達が近づいてきた。
逆ナンか?そのわりには数が合わねぇな…?
「ちょっと聞いてもいいですか〜?」
「なんだ?」
逆ナンとは感じが違うようだ…この手の女たちの行動は読めない。
「どっちが受?」
!!?ッゲホゲホゲホッ!!!
俺の口からコーヒーが噴出しそうになり、それを堪えたら思いっきりむせた。
ナニを言い出すんだ!この女達は!!!?
最近のオンナにはモラルがないのか!!!?
咽返って反論出来ない俺に代わってスコールが口を開いた。
「俺達はどちらも攻めタイプだ」
「はい?」
コイツ、意味わかってねぇな…戦闘のことじゃないんだよ…。
ちょっと、イタズラ心が起きてきた。
お嬢さん達の期待に応えてあげるとするか。
「違うだろ?オマエ、受けだろ?」
「どういう意味だ?」
「いつもスタミナ切れて、俺にされるがままだろうが?」
「っ!!最初は俺のほうに分があるだろ!あんたがしつこく何度も挑んでくるから…」
彼女達の歪んだフィルターを通るとこの会話もかなり歪曲されているだろう。
その証拠に3人共頬をピンクに染め、手を取り合って喜んでいる。
喜んでいるだけなら害は無かったが、余計なことを言い出しやがった。
A子「やっぱりそうだと思ってました〜♪」
B子「今日何度もお二人をみかけたんですけど気になっていて〜♪」
C子「どこから見ても恋び…」
最後まで言わせずスコールの手を掴み店の外に出た。
後ろでは女達がなにやら叫んでいるが知るもんか。
案の定、スコールは目を点にしている。
「なんだったんだ?最後は良く聞こえなかったけど…」
「さぁな」
「?どうした?なんかショック受けたみたいな顔してるが?」
「なんでもねー」
その後、フィールドでモンスター相手にバトルして、ヘトヘトになって帰った。
途中何度もスコールは、俺の様子を気にしていたようだが構っていられなかった。
寮で別れた後、あの女の言葉を思い出す。
「どこからみても恋人同士」
この一言で自分の心に気が付いちまった。
あいつらが変な人種だというのを差し引いても、回りにそう見える行動を取っていたような気がする。
『恋人同士』
なるほど、今日の自分の不可解な言動にも説明がつく。
病気だと思っていた動悸もそのせいだ。
思えば、今まで付き合ったオンナ達のどこかにアイツとの共通点があった気がする。
結論は1つしかねぇ…。
俺はスコール=レオンハートが好きだ
信じられねぇ。
自分がオトコに走るだなんて…。
そりゃ、前から気になっていたのは認める。
でも、それはライバルだからだと思ってた。
確かにアイツの顔は綺麗だし、瞳の色・声・仕草に目を奪われる。
だけどっ!!オトコだぞ!!!?
同じ構造をしたオトコにトキメクなんて!!!
その後、ヤケクソでアクの強い女と付き合ってみたが(リノア)…無駄だった。
そんな思いをアルティミシアにつけ込まれ…。
アイツから離れてみることは俺には必要だったから、あの魔女は結果的に心の窮地からも救ってくれたようなもんだ。
しかし、悩むなんてガラじゃねぇよな?
アイツの元へ戻ろう。
ガーデンに戻ると、やはり一悶着も二悶着もあった。
俺は、罵倒され、見下され、軽蔑された。
当然だ。
それだけのことをしたんだ…俺は逃げも隠れもしない。
土下座して謝るなんて屁でもねぇ。
プライドよりも優先させるものがあった。
俺の隣で、恋人が身じろぎする。
今、俺の腕の中で眠るコイツが手に入ったんだから、やっぱり
「やりたいように」
やって正解だったワケだ。
「何、思い出し笑いしてるんだ?」
寝起きで潤んだ瞳を向け囁くように聞いてきた。
スコールを起こしてしまったらしい。
「思えば、あれが初デートだったな〜って」
「…?」
「女って、みんな直観力に関しては魔女並だぜ」
「…」
「スコール?」
また眠りに落ちた恋人を優しく抱きしめ、幸福を実感する。
ちょいと、世界巻き込む壮大な恋になっちまったが、終わり良ければ全て良しだな。
END
あとがき
風邪で頭・喉が痛い。
熱まで出てきた。
一気に打ちこんだけど、最後のあたりはナニガナンダカ。
ネタ的に短編の中では最初に浮かんだヤツです。
悩むサイファーを書きたかったのさ★
う〜〜〜っ
ダメだ。
後で手直しすることにしよう。
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