更新日:2006.09.03
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残暑の強い日差しに焼かれた窓ガラスが、ジリジリと熱を放ってくる。
私は出来るだけ窓から遠ざかった場所を歩きながら、目的の場所に向かった。
大した用事はないけど、半ば意地になって1週間に1、2回は通い続けている場所。
せっかく捕まえた超美形の恋人を、よりによって元カレに強奪されたら意地になるってもんよ!
オンナとしてのプライドが許さないんだよね。
暫く歩くと、周りの材質からちょっと浮いた木の扉が見えてきた。
バラムガーデンの指揮官室の扉。
元は他と同じく自動ドアだったのに、破壊頻度が高くて、安い木の扉にしたとか…。
そういえば、中の壁紙や備品もしょっちゅう変わってる。
やっぱ、あの2人が暴れてんのかな?
暴走するのって、あの2人しか考えられないもの。
男の子って、どうしてそんなに血気盛んなのかなぁ。
キスティス大変だろうな…。
木の扉の前に着き、ノックしようと右手を上げた時だった。
指揮官室からボソボソと男の声が聞こえた。
防音仕様になっているこの部屋は、通常なら声が漏れないはずだった。
薄っすらと開いた扉の隙間から声が漏れているのだ。
誰か閉め忘れたのかな?
その声の主が、かつて自分が付き合っていた問題の男達ということに気付き、悪戯心が芽生えた。
そっと扉の隙間に耳を近づける。
「スコール、早く入れろよ。オマエが出来るって言ったからやらせてんだぜ?」
「…やってるだろ。でも…キツイんだ」
え…。
この会話ってまさか、アレの真っ最中なわけ!?
まだ午前9時なのに、しかも指揮官室で〜〜!?
なんて大胆なっ!!
とか心の中で叫びつつ、耳はしっかり扉にくっつける。
「まだ途中までしか入ってないぜ?」
「くっ…駄目だ…もうこれ以上は入らない」
「奥まで入れろよ」
「無理だ…大き過ぎるんだ。ギチギチいってる」
「んなことねぇって。もっと体重かけてみろ」
「これ以上やったら…壊れる」
「大丈夫だって。上手く入るようになってんだ。一気にいけよ」
「駄目だって!壊れる!!」
お…奥までだって!
いや〜〜〜んvvv
しかも、スコールが自分から入れてる〜〜〜!!
あのスコールが朝から仕事部屋で自分から!!
「なぁ。オマエだって分かってんだろ?このままにしておけねぇって」
「分かってるけど…でも…」
「見てみろよ。まだこの分は入るんだぜ」
「や、やめろっ!触るな」
「んなこと言ったってよぉ…このままじゃ先に進まねぇだろ?出来ねぇなら俺がここから進めるって」
「ダメだ。アンタがやったら強引に入れるだろ。まだ仕事があるのに、変になったら…困る」
「変になんねーって」
「今まで、そう言って仕事出来なくなったことが何度もあっただろ。アンタの大丈夫は信用できない」
なるほど。
サイファーに主導権を渡したら、仕事に支障出るくらい激しくされるんだ。
だから自分から。
…っていうか、この状況で腹が立つどころか、ドッキドキ★の大興奮で鼻息荒くしてる私って変態!?
相手は私を振って男同士でくっついたわけじゃん。
なのに、ニヤニヤしながら聞き耳立てちゃって…
「今日はもう…ここで止める」
「なに言ってんだよ。あと少しだろ?…ほら」
「あっ!」
カチッ
「ちゃんと入っただろ」
「俺がやるって言ったのに!」
「オマエがやってたら、いつまでたっても終わんねぇだろ」
「だけど!アンタ今まで何台壊したと思ってんだ!?」
「いいじゃねぇか。コレは大丈夫だったんだからよー」
「ねぇ…アンタ達、ナニやってたの?」
話の流れが何やらおかしくなって、思わず扉を開けて聞いてしまった。
机の上に置いてある箱型のモノを、スコールとサイファーが覗きこんでいる。
スコールは緊張と怒りで顔を赤くしてはいたが、服をちゃんと着こんでいて、ハードなHをしていたようには見えない。
サイファーも勿論、脱いではいない。
「あ。リノアおはよう。パソコンのメモリ増設してたんだ」
「なかなかガーデンから許可下りなくてよ、ようやく512MB増やせたんだぜ」
メモリ?
増設!?
メモリの増設!?
なんじゃそりゃあ!?
「リノア…あなたの気持ち、よ〜くわかるわ」
「キスティスいたの?」
「いたのよ」
指揮官室には、あのハレンチな会話をしていた2人だけでなく、キスティスも無言で座って、間近でこの遣り取りを見ていた。
「この2人って、いつも“あれ”なわけ?」
「今日はまだマシな方よ。時々堪らなくなっちゃって、私、目からビーム出しちゃうのよね…」
と、遠い目をするキスティス。
扉が壊れたり、壁紙が変わっているのは、どうやら目の前の女傑が興奮して破壊行為に及んでたらしい。
そりゃ、アレよりも凄かったら、私も大興奮で地殻変動の1つや2つやってしまいそうだよ。
「俺達何もやってないだろ?何でキスティスが壊すたびに、俺たちの給料から修理費が引かれていくんだ?」
「普通に会話してるだけだよなぁ〜?」
スコールと違って、ニヤリと笑うサイファーは確信犯だ。
「私、キスティスの手伝いしに、毎日早く来ようかな〜」
「嫌じゃないの?」
「目覚めちゃったというか〜、色んな意味で楽しめそうだし」
「何だよ、デバガメが1匹増えんのかよ」
スコールだけが別の意味で捉えたらしく、とんでもない言葉がその形の良い唇から飛び出してきた。
「リノア…俺達がこんな関係だからといって、キスティスとレズに走るのはもう少し考えてからの方が良いぞ。キスティスもSeeDだし、体力の差で夜はその…相当キツイと思う」
残暑の厳しい日差しの中、
指揮官室の扉と、指揮官室に面する廊下の窓ガラスが吹っ飛び、床に大きな亀裂が走った。
その後、時折バラム・ガーデン一帯の地盤も沈下するという現象に、地質学者が血眼になって調べたが、原因不明のままだった。
昨日の朝、会社で自分が使ってるPCにメモリ増設しながら浮かんだネタ。
ほんとキツクて、メモリがなかなか入らなくてさぁ〜。
オイラ…かなり頭がイッてるかもしれん。
2006.09.03