| HAPPY STREET |

第一部:3月10日

2月半ばから俺はず〜っと不機嫌だ。
原因は、俺の「恋人v」スコールだ…

スコールは理由を聞いてくるが、あえて「自分で考えろ!」と突き放した。
アイツは考えても、考えても、途中で寝てしまうくらい考えて…それでも理由は思い当たらないようだ。



(だいたい…なんでこんなコトわかんねーんだ?)



そして、3月…俺はスコールをデッキへ連れ出した。
まだ風が冷たい季節だ、デッキには俺達以外誰もいない。
スコールは相変わらず眉間に皺を寄せ、ムッスリしている。



(そういえば、半月まともな会話してないぜ…)



「スコール、本当にわからないのか?」

「なにが?」

「(…コイツ)俺が不機嫌なワケだよっ」

「俺も不機嫌だ!この前からワケの分からないこと言って、俺を振り回すな!!」



この野郎…逆ギレしやがって…
だが、俺はここで引き下がることは出来ないんだっ!



「俺が機嫌悪くなった日が、いつだか思い出してみろ!」

「 (…あんたがスネた日…)2月14日がどうかしたのか?」

「だぁぁぁぁ!!!一大イベントがあっただろうがぁぁぁぁ!!!」



俺はバリバリと髪を掻きむしりながら叫んだ。
(わかってねーっ!コイツ、わかってねーよ!)



「イベント?…ああ。バレンタインか?」

「愛の大イベントだ!!」

「お菓子メーカーの思惑に踊らされる日だろ?サイファーも山ほど貰って…甘いの嫌いなのに押し付けらたから…あれで不機嫌になったんだろ?」



たしかに、アレは凄かった。
闘争心まるだしの女子が、敵(自分にとって)を蹴散らし、可愛らしくラッピングしたチョコを手に追いかけてくる…傭兵を育てる学園だ、アレは人間の理性を放棄した生物兵器だった!



でも…俺が不機嫌なのは、そんなことじゃない!
俺は、あの日待っていたんだ…なんでわかってくれない!?
ちくしょう!



「…俺は、オマエから貰ってない」

「は?」



バカヤロウ!聞き返すなよ!!
こんなこと、俺の口から言わせるなんてっ!!
悔しくて、やけになって叫ぶ。



「俺はオマエからチョコレート貰ってないって言ってんだよ!!!」

「…ちょっと待て…アンタまさか、それで不機嫌だったのか?」


俺は無言で頷く。
そう、俺は待っていた。
辛抱強く待っていた。
2月14日から15日に日付が変わるまで待っても、待ってもこなかった。
どこかに隠してあるのかと思って、朝まで自室を探したが匂いさえなかった…。
天井裏・床下まで探した俺はなんだったんだ!?



スコールを見れば、眉をひそめ考え込んでいる。
そして、不思議そうな顔で爆弾投下しやがった…



「…なんで俺が、アンタにチョコをあげなければならないんだ?」


沈黙が数十秒その場を支配した。
…冷たい風がさらに追い討ちをかけるように吹きつける…
春一番には、ほど遠い冷たい風だった…。




NEXT 3月13日


はい、続きます。
サイトの基礎作成に追われて2月14日にNOVELが間に合わなかったので、ちょっとリベンジ(^0^)
一応、第3部まで続くデス。
ラストは3月14日ホワイトデ〜なのさ★
その第3部は●●サマのキリリクに繋がる予定なのだが・・・彼らが暴走しないかぎりね・・・。


2001.03.09

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