| 花 |
04:A Shower Of Cherry Blossoms

雨のような銃弾の音

白い閃光

全ての音と光が静まりかえった時…

俺とスコールだけが立っていた

聖なる審判を下した戦いの天使は、俺の腕に中に舞い降りる

互いを確かめ合う久方の抱擁

服を朱に染める命の水は足元に流れ落ち

約束の場所で、どちらともなく崩れ落ちた





一陣の風が吹いた。
風に乗って花びらが舞い落ちる。




「本当だ・・・あの時と同じ・・・雪みたいだ・・・」

「ばーか、逆だろ。雪が花びらに似てるから“風花”っていうだろうが」

「煩いな…“花吹雪”とも言うだろ?」




樹齢数百年経った幹に背を預け、天へと向けて伸ばした枝を仰ぎ見る。
ようやく満開に咲誇った桜は、スコールの放ったプラスティングゾーンの余波を受け、一斉に散り始めた。
その花びらは、前方に転がっている屍達にも降り注ぐ。

倒錯的…だが何処かで見た名画のように完成された芸術のようだ。



「…なあ、スコール怖くないのか?」

「あんたが一緒なら怖くない」

「そうか…」

「俺…間に合ったよな?」



“何に”とは聞かない。
それは、『桜』でも『約束』のことでもない。

スコールの『間に合った』は俺の『死に間に合った』という意味だ。



「ああ、大丈夫だ」



俺の言葉に、スコールは嬉しそうに微笑む。



「良かった…俺、少し疲れた…先に眠っていいか?」

「ああ…抱いててやるから、安心して眠れ」

「…おやすみ…サイファー…」

「おやすみ、スコール」



スコールは、俺に軽くキスをし…



そのまま、俺の腕の中で眠るように逝った。






たぶん、コイツにとってこれが一番幸せな死に方。
コイツは誰よりも淋しがりやで、置いていかれることに脅えていた。
誰も知らないスコールの深淵。
俺だけが知っている。



「お前、馬鹿だよな…俺も一緒に逝くと思ってただろ?俺は足に1発しか当たってないんだよ…俺を濡らすこの血は、ほとんどがオマエの血だ。ったく…1人で何発も食らいやがって…昔からオマエ、要領悪かったよな?だから、伝説のSeeD様になんかされるんだぜ。」



スコールの頬に触れる。
まだ温かいのに、息をしていないのが不思議だった。
瞼…耳…いつもキスを落としている所に順々に触れていく。
最後に、失血で色を失った形の良い唇に触れ…
水滴が手に落ちる。

いくつも、いくつも水滴が落ちる。
雨は降っていない…そこで、やっと気が付く。



俺は…泣いていた。

涙が止まることなく流れ落ちる。

胸が絞めつけられた様に苦しい。
一気に何かが押し寄せ、心から溢れ出した。



「チクショウ!!要領悪いのは俺かよ!!!なんで、お前が死んで俺だけ残るんだ!!?」



物言わぬ恋人を揺さぶる。
スコールの腕が地面に落ちる。
薄く開いた瞳は光がなく、何も映していない。
これは…恋人だったモノ。
今は、ただの肉塊。





恋人は…もう、この世にはいないのだ。






草を掻き分ける、小さな足音に気づく。
顔を上げると、炭焼小屋の子供が立っていた。
1ヶ月間一緒にいても懐くことがなかった子供…。

手には一般家庭用の、護身用拳銃が握られていた。



「お前のせいで、父ちゃんと母ちゃんが死んだんだ!!」



小さな瞳が憎悪で燃えている。



「…ははは、世の中上手く出来ていやがる!俺用の死に方が、しっかり別に用意してあるなんてな……いいぜ?来いよ。」



そう言って、自分の眉間を指差す


「小僧、ここだ…ここを一発で、ジ・エンドだ。」





小さな死神が近づいてくる。

もう少しだ…スコール…



自然と微笑みが浮かぶ。

恐怖はなかった











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この先に、
お前が待っている
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END




2001.04.25


END



ここまで読んでくれて有り難うvvv

初めての「あの世へバイバイ」小説でした〜。
思いっきり痛いもん書いてみようと頑張ってみたのね。
通して読んでみると…まだまだッス。

メガネにティッシュを挟んで読むような痛い小説書けるようになりたいな〜
精進せねば。

この後の展開は、あえて書かないです。
だってココ、サイスコなサイトだから〜、彼らが死んだら終わりだって!




感想とか聞かせてくれればウレシイです〜〜〜!
是非、ヨロシク!!

ちひろ


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