| CLOVER |

更新日:2001.03.04

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昼休みは、いつもサイファーと庭の木陰で休んでいた。
今は隣にあの男がいない。
昼食を食べ終わった直後、学園長から呼び出しの放送があった。
きっと任務だろう。
SeeDになったサイファーは着々と任務をこなしていたが、二次災害も大きかった…。
その後の処理を考えて、ちょっとブルーになる。


始末書を書くこっちの身にもなってくれ…。


ちょっと不貞腐れて芝生に寝転がる。
少し伸びかけた芝生は思いのほか柔らかく気持ちが良かった。
うつ伏せになって葉っぱをいじっていると、奥の方に芝とは違う形状の緑の群生が見えた。

所々に白い花を咲かせるクローバーの群生

なんとなく近寄って、そこに腰を落とす。
クローバー…
子供の頃、キスティスやセルフィー、そして何故かアーヴァインがコレで首飾りや冠を作っていたのを思い出した。


アレってどうやって作っていたんだ?


1本手にとってみたが編み方を知らないことに気が付いた。
それでもなんとなくチャレンジしてみようと、もう1本摘む為に手を伸ばす。


手に触れた1本は四葉だった。


これて何か意味あったよな。
願い事が叶う?
幸せになる??
お守り???
俺って、この手の情報に疎いよな…

どっちにしろ、持っているものに良いことがある縁起物に違いない。
幸せになって欲しい人…
思い浮かべてたのは、真っ直ぐで傲慢なあの男の顔だった。
1人で首まで真っ赤になる。


…。これが、ベタ惚れってヤツなのか?


四葉のクローバーを傷つかないように手のひらに優しく包み込み校舎へ向かって駆け出した。







「くそっ!最近任務が多すぎるぜ!!」


任務依頼の多さにもイラついたが、スコールとの休憩時間を邪魔されたのが1番腹が立った。
仕事中は「イチャつき禁止令」をスコールに言い渡されていたから、昼休みは貴重なキチョ〜なラブラブタイムだった。
ラブラブといっても昼間っぱらから、あ〜んなことやこ〜んなことをさせてはくれなかったが…
2人っきりの穏やかな空間というのも心地よかった。


あの腹黒タヌキ親父めっ!ワザとやっていやがる気がするぜ…
いや、絶対ワザとだ!!
この怒り、誰かを取り締まらねぇと気が済まねぇ!!

実はサイファーの「腹黒リスト」「腰抜けリスト」の筆頭にシド園長の名前がデカデカと書いてあった…入学時から人を見る目は鋭かった…。そりゃもう、獣並で…。


不機嫌を隠さずに歩いているサイファーを発見した他生徒達は、すばやく逃げ出し視界に入るところには誰もいなくなっていた。
ヤツアタリの対象も捕まらず怒りがピークに到達しようとした時、前方から誰かが走って来た。


≪ああああ!!誰だ!!!?今捕まったら血祭りだぞ!!!≫


気配を殺して隠れていた生徒達の声無き声が叫んでいた。
だが、一向にサイファーの怒鳴り声が聞こえず……
怒鳴り声どころか機嫌の良さそうな声が聞こえる。

…そして、出るに出られなくなった…。



「よお!急いで何処に行くんだ?」

「あんたを探していたんだ…これ渡したくて…」



サイファーに手渡されたのは、四葉のクローバー。



「どうしたんだコレ?」

「さっき庭で見付けて、あんたにあげたくなったんだ」

「これの意味知ってるか?」

「よくわからないが、良いものなんだろ?」

「オマエな…ちょっと待ってろ!」



そう言うと、サイファーは何処かに駆け出して行った。



5分でサーファーは戻ってきた。

「何処行って来たんだ?」

「手ぇだせ。」

「?」

「これは、お前の分だ」



スコールの手に落とされたのも四葉のクローバー



「なんで?」

「いいか?四葉のクローバーは“幸福のしるし”なんだよ。」

「だから?」

「バ〜カ、俺1人で幸せになってもしょうがないだろうが!」

「おい…っ!」

「2人で幸せになろうぜ〜vvv

「〜〜〜〜〜〜っ!!!!」


抵抗する隙もあたえず、スコールを抱きしめ濃厚なキスを始めた。
2分…3分……長い…。
伝説のSeeDはすでに陥落しているようだ。


グッタリしたスコールを抱え込み、先ほどまで歩く災害だった男は上機嫌で指揮官室に消えて行った。
後に残ったのは、不自然な格好で長時間隠れていた逃げ遅れた生徒達…



『『やるなら指揮官室でやっってくれ!!!』』



それも、かなり問題だが…(汗)


正気に戻ったスコールにボロボロになったサーファーが蹴り出されたのは言うまでも無い…。



END


あとがき

相方の贈呈小説でした。
もう閉鎖しちゃったけどね(泣)

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