| Sweet,Bitter Sweet |

 03
輝ける海の息吹

■■■■■■

青い空
はばたく鳥
そして、糞まみれの俺達



「ぷっ…オマエ、着てるの黒いから余計に目立つな〜」

「だから言っただろ!!それなのに、アンタがシートを引っ張るから!!」



スコールが半泣きで俺に蹴りを入れた。
っの野郎!
いくらなんでも恋人を蹴るなんて酷ぇぞ!
大体よぉ、俺だって被害にあってんだぜ?

どっちも、海鳥の洗礼を受けた数には大差ない。
頭からつま先まで、近代美術も真っ青なくらい何箇所も、ちょっと黒っぽいモノが混じったウンニョで全身ハデに彩られた。
敵の攻撃は避けれても、この小さく生温かい排泄物爆弾には、俺達にも避けることが出来ず、全く打つ手は無かった。
唯一、防御できそうなレジャーシートも、取り合いで破けてしまったしな。
上手く破けたなら、まだ被れたかもしれないが、世界最強と言える男が2人で引っ張った結果、ビニール製のレジャーシートは長細く伸びきり、破けた…と言うよりも千切れたと言った方が近い状態になっていた。



「しっかしよー。こんな姿でどうやって帰るよ?」

「確かに…この姿で帰ったら、いい笑い者だな…」

「チクショウ!無性に腹立ってきたぞ!アイツラの羽をむしって布団屋に売ってやるぜ!」

「鳥相手に大人気な…」



ビチャッ



スコールの頭のてっぺんに、白いものが落ちた。
あーあ…頭頂部かよ。
俺の金髪と違って、茶色い髪は白いモノが目立つなぁ。



「…サイファー」

「ん?」

「今夜のオカズは焼き鳥だ」



スコールが笑顔で、鳥の集団に目掛けファイガをかけようとしていた。
ただし、目が笑ってねぇでコエ〜よ。
全く、どっちが大人気ないんだか。
別に止めねーケド…ん?
ふと、その集団が集まっている岩場を見て気が付いた。



「スコール!ちょっと待て!!」

「止めるな!アンタだって羽むしるって言っただろ!」

「ここにいた俺達が悪ぃんだよ!!」

「?…アンタ、何言って?」

「よーく見てみろよ」



俺が顎で示した先は、今まさにスコールがファイガをかけようとしていた岩場。
そこには、無数のツガイの海鳥達が、岩の隙間に巣を作り上げていた。
今年作ったものではなさそうな古い巣もある。
ということは、ここは毎年海鳥達が卵を産む為に毎年来ているということだ。



「ここは…もしかして…」

「そうだ。元々ここは海鳥達の産卵場所だったんだよ」



嵐の時は巣に隠れていた海鳥達が、晴れて外に出てきたら人間が2人。
驚いて、卵を守る為に威嚇しながら俺達の上を飛び回ったのだろう。
そして…仕掛けてきた攻撃ががウンニョ爆弾だったわけだ。
そういえば、俺は今まで春と冬には、ここに来た事がなかったな。
だから今が産卵時期だって気付かなかったのか…。



「あ!サイファー、あれ!!」



スコールが少し離れた岩場を指差した。
そこには…先月、海に飲み込まれたチョコレート色の皮手袋が片方。
更に数十センチ離れた場所にも。



「へぇ?俺達が使うより、有益な使い方してんじゃん」

「アンタ、怒らないのか?」

「何でだよ?命の寝床になってんだぜ。嬉しいじゃねーか」

「…そうだな。俺達が使っていても、その手でガンブレートを握って、何かの命を奪うことにしか使われない…」



スコールの秀麗な顔が翳る。
何でコイツは、こうすぐに暗い考えになるんだか。



「べっつに傭兵業が悪いってワケじゃねぇよ。俺達だってモンスターが増えすぎないように倒して、この星の秩序っつーモンを守ってるだろ」

「星は…話がデカ過ぎだ」

「そうか?結構、貢献してると思うぜ〜?」



スコールがクスリと笑う。
その笑顔は、たとえ鳥の排泄物にまみれていても、極上に綺麗だった。
お互い、ホワイトデー作戦としてのホテルでのランチ、そしてココでのピクニックも失敗に終わったが、俺にはこの笑顔で充分だ。

んが、心は充実したが、俺達の惨状は変わるわけもなく…
深夜遅く、俺達は人目を避けるようにコソコソとバラムガーデンに帰還した。




翌日、2人が揃って制服で姿を現し、ガーデン内が騒然としたのは言うまでもない。




………END


ホワイトデー小説の続編…というか結末。
本当はここまで書きたかったけど、間に合わなかっただけだったり(^^;)
っつーか、今、何日だよ!?と自分ツッコミ。
たったコレだけの文章なのに、頭動いてくれないよ〜〜〜〜〜。
鬱って怖いなー。


2004.03.29

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