「わりぃ。今夜はその…ダメだ」
あんなに元気だったのに、今はグッタリと項垂れた俺の息子。
せっかく土曜日のうちにスコールが早く帰ってきて、明日は休み。
ついでに場所はラブホテルという、絶好のシチュエーション。
待ちに待ったH許可が出たのに、すっかり戦意喪失していた。
「今更それはないだろ。コッチは準備OKなのに」
俺だってさっきまでは超OKだったぜ。
だけど、盛り上がった所を現実に引き戻されて、そのまま続行出来るほど俺は図太くない。
「俺はオマエと違って、心は繊細なんだよ!」
「こんな手術跡くらい何でもないだろ…アンタもっと目立つトコに傷付けたくせに」
スコールの額に残る俺が刻んだ傷。
俺にも対照的に、スコールが付けた傷がある。
一生残る目立つ傷だが、これは勲章…今となっては所有印みたいなもんだ。
この傷と、頭の中にある傷とじゃ意味が違う。
この傷の下には、小型爆弾が隠れているんだ。
コイツには何の落ち度もないのに、俺のトバッチリで。
俺が外で何かやらかしたら、自爆を迫られることだってあるかもしれない。
そういう事態だって有り得るのは、コイツだって分かってるはずだ。
それなのに、何でこんなにコイツは平気な顔をしていられるんだ?
「俺の場合は、自分で自爆コードを発動させなければ爆発しないんだ。アンタみたいに時限式でもなければ、誰かの死によって爆発することもない。だから、そんなに深刻になることないだろ?」
「俺が何かやったって、オマエが自爆する必要なんてないだろ。俺のせいで死ぬのは嫌じゃないのかよ?」
「別に。まぁ手術で少しハゲたのはムカついたけど」
「…他にもあるんじゃないのか?俺絡みで、押しつけられたり、制限されたりすることがよ?」
「勿論あるに決まってる」
…即答かよ。
「他にも変な手術されたのか?」
「いや。体をイジられたのは、ここだけだ」
「爆弾以外は何があるんだ?」
「別に。これに比べたら、たいしたことじゃない」
「言えよ」
「バラム・ガーデンに永久勤務が決まったのと…結婚してガーデンの外に家庭を持つことが出来ないだけだ」
だけ…って軽く言えるモンじゃねぇだろ。
この歳で、一生独り身でいろだなんて、どこの馬鹿野郎がそんなこと言ったんだ?
そういう奴に限って、愛人を何人も囲ってるに違いない。
しかも、人生のレールまで決められて、これじゃあ未来を潰されたようなもんだ…
「何でアンタがそんなに凹むんだ?俺は別にこの程度の条件はなんとも思ってない。だから、ほら続き…」
「そう簡単に復活するかよ」
俺にはショックだったのに、コイツにはその程度の問題なのかよ。
続きを促されても…すっかり落ち着いてしまったしなぁ…
もったいないが、今夜はもう諦めるしかない。
それなのにスコールは真顔で一言。
「だったら、俺が手伝えばいいのか?」
一瞬、耳に届いたコトバが理解出来なかった。
手伝う…
手伝うって…
手伝う!!!!!?
俺は今日何度心臓が止まりかければいいんだ?
現金なことに、その一言で復活の兆しが見え始めていた。
頭の爆弾とか、結婚とか、もう頭の片隅に追いやった。
今は「手伝う」の一言が脳内を独占している。
「何だ…少し復活してきたな。手伝う必要はないか…」
「い〜や。俺のモノは、まだまだこんなの復活した内に入らないらねぇよ。せっかくだから手伝ってくれ」
「…随分嬉しそうだな」
「いいからヤレよ」
スコールが俺のモノに手を伸ばす。
そして少し躊躇いがちに軽く握った。
クールな言動のわりには、その手は緊張で微かに震え、冷たく汗ばんでいる。
「熱いな」
「オマエが触ったから熱くなったんだ。擦ってみろよ」
「擦れば…いいのか?」
「オマエだって自慰くらいしたことあるだろ」
「しない。そんなのしなくても入れ替わりに女子がきたし」
「その女子達は、誰も擦ってくれなかったのか?」
「…自分がやるのと、やって貰うのとじゃ勝手が違う」
恐る恐るスコールが擦り始めた。
擦るというより撫でてるといった感じでくすぐったい。
「もう少し強く握ってもいいぜ」
「潰れたら?」
「そんな簡単に潰れるか」
冗談を言ってるかと思ったら、スコールの顔は真剣だった。
上気した頬は桃色に染まり、緊張で強張っている。
呼吸も早く浅い。
コイツ…俺のを触って興奮してるのか?
「あ…大きくなってきた」
「オマエ上手いな。すっげぇ気持ちいいぜ〜」
「じゃあ、こういうのは?」
そう言って屈みこんだかと思うと、俺の股間に顔を埋め、俺のモノをパクリと何の抵抗もなく口に含んだ。
だ〜〜〜〜〜っ!?
いつかは、やって貰おうと思ってたが、それは今じゃねぇ。
1つ1つ段階を踏んで、俺の色に染めようという計画が、2度目にしてブチ壊しだ。
っつーか、俺が先にやるつもりだったのに!!
「この野郎…俺だってまだ遠慮して、オマエのしゃぶってねぇのに!」
「やった者勝ちだろ」
「う…」
挑発的な言葉と共に出た吐息が俺のモノにかかり、ゾクゾクする。
スコールの熱い舌が亀頭の裏側を滑り、根元までスライドする。
それだけで熱がどんどん集まっていった。
くそ…なんて舌使いだよ。
甘噛み加減も絶妙で、先端から雫が垂れるのはそう時間がかからなかった。
「上手いじゃねぇか。本当は初めてじゃねぇんだろ?」
「疑い深いな。アンタが初めてだ。光栄に思え」
「初めてだ?そしたら生まれつきの才能だな」
「黙れ」
スコールが股間から上目づかいに見上げ、男のモノを咥えながら偉そうに言う姿は…逆に俺の欲情を掻き立てる。
ここまで回復したら、もう自力で疾走可能だ。
俺は体勢を入れ替えようと、スコールの肩を掴み、押し倒そうとした。
だが、一瞬早くスコールが圧し掛かり、俺のほうが仰向けに転がった。
ニッと何かを含んだ笑みを浮かべ…
「今日は俺が全部やる」
「は?」
やるって…
まさか俺をヤルっていうことか?
マジかよ…
流石にリバーシブルという展開までは考えちゃいなかった。
「アンタ、なんて顔してるんだ」
「いや…オマエが俺に突っ込むって全く予想してなくてよ、本気で驚いているんだ」
「何で俺がアンタに突っ込むんだ?自分で挿れると言ってるんだ」
自分から!!!!
昔からコイツって何考えてるか分からねぇトコがあったが、今日は全く予測不能だ。
だけど、いくらなんでもまだ早い。
「まだやめとけって。身体が慣れてねぇのに、そんな上級者コースは絶対無理だ」
「煩い。俺は主導権握られて、やられっぱなしは嫌なんだ」
「んなこと言って、オマエ自分の後ろはどうやって解すんだ?」
「あ…」
流石に自分で解すとは言えないらしい。
コイツ、変なところでヌケてるよな。
「じゃあ俺を跨ぐように四つん這いになって、コッチに尻を向けろよ」
「何で?」
「オマエが俺のをしゃぶってる間に、俺もオマエの後ろを解してやる」
「それって絵的に…すごく恥ずかしくないか?」
「他に見てるヤツもいねぇのに、恥ずかしくないだろ」
「アンタが見てる」
「当たり前だ。っつーか、俺のをしゃぶってるヤツが、何を恥ずかしがってるんだか」
「そうだけど…」
「ヤリたいんだろ?早くしねぇと、俺のがまた萎んでくるぜ?」
不承不承といった感じで、ノロノロと俺の上で向きを変える。
四つん這いのまま振り返ると、自分の股間の間から俺を見る形になってスコールの頬が羞恥で赤くなった。
流石に恥ずかしいか。
自分のモノを視界に挟んで俺を見るのは。
「…こうか?」
「ちょっと待て」
枕を重ねて背を預けると、スコールの蕾がちょうど良く目の前にきた。
尻を引き寄せ蕾に息を吹き掛けてやると、ヒクッと収縮する。
「んっ!」
おおー!
薬がなくても感度良好。
「こっちも準備OKだ。始めようぜ」
生温かくヌメったものが、俺の陰茎に絡みつた。
さっそくオクチに頬張ったか。
俺もスコールのまだ固く結んだ蕾をベロリと舐めると、何か言いたげに振り返ったが、思いっきり無視して蕾の窪みに舌を突き刺すように押しつける。
舌先を細かく動かしながら先端を少し潜り込ませると、「あ…んんっ」と色っぽい声を漏らし、スコールの動きが止まった。
その快感が去る前に、俺は左手にローションをたっぷり垂らし、太腿を抱え込むように腕を回した。
そしてスコールの動きに合わせて揺れるモノを、その手で擦り上げる。
急に与えられたヌメヌメとした感触に、スコールの体が強張った。
「ああっ…ちょ…やめ!…解すのは後ろだけだろ?」
「旨そうなのが目の前にブラ下がってるのに、見てるだけじゃ勿体ないだろ」
「くっ…また俺ばっかり…ズルイ」
「やった者勝ちなんだろ?」
悔しそうなスコールにニヤリと笑う。
無言で前を向き、さっきより早い動きで俺のモノを育て始める。
この負けず嫌いめ。
子供の頃は泣き虫で…だけど負けず嫌いだったスコール。
今はもう泣きはしなくなったが、こういうムキになる所は変わってないよなぁ。
さて、本人もああ言ってることだし、本格的に後ろを解してやるか。
俺の舌で軽く弛めたそこは、ほんのりと赤みを増していた。
ローションを垂らしながら、指先を埋めるとヒクヒクと誘い込むように収縮する。
この間の夜を身体が覚えているのか、まるでここだけ飢えた生き物のようだ。
そのまま引き込まれるように指を一旦根元まで沈めると、呻き声と共に指を締め付ける力が強くなった。
「サイファー…痛い」
「力抜けよ。自分で締め付けて痛くしてんだぜ」
「無理」
「そんなんで、よくまぁ自分でヤルって言ったもんだな」
「〜〜っ…」
グリッと捻ねりながら指を引き抜く。
そしてまた指にローションを塗りつけ、蕾の奥へと潜り込ませた。
何度も繰り返し、そして指の数を増やしていく。
時々内部で指を曲げて刺激を与えると、甘い声が漏れ始めてきた。
前の雄からも先走りが溢れ出し、俺の胸や腹の上にポタポタと落ち始めている。
その頃にはもう、俺のモノに手を添えるだけで、スコールの動きはすっかり止まっていた。
手足はガクガクと震え、四つん這いの体勢を維持するのがやっとという感じだ。
「ふ…ぅんっ…」
「おい、そろそろ余裕がなくなってきたんじゃないのか?さっきから手も口もお休みしてるぜ?」
「…うっさい!アンタだって、もう何もしなくても、こんなになってるくせに」
スコールが言ったとおり、俺のも元気を取り戻し反り勃っている。
いつでも出撃可能だ。
「ソレがオマエの中に入るんだぜ」
「本当にこの前…コレが入ったのか?」
「根元までしっかり飲み込んでたぜ」
「そうか…じゃあ入れてみる」
コイツ…やっぱり自分でヤル気かよ。
スコールが俺と向き合うように体勢を戻し、勃ち上がった俺の雄を、赤く濡れた秘所へとあてがう。
先端が少し潜り込み…だが、そこで動きが止まり、なかなか腰を落とすことが出来ないでいた。
そりゃそうだ。
まだ2度目だぜ?
しかも今回はクスリ無しでシラフだ。
そんな状態で貫かれるのを想像したら…直前で戸惑ったてところか?
どっから知識を仕入れてきたか知らねぇが、行動がそれについて行ってない感じだな。
「ほら、出来ねぇんだろ。俺に主導権寄こせって」
「いやだ」
「じゃあ手伝ってやるから、もっかい後ろ向け」
「いやだ」
「出来もしねぇくせに、アレも嫌、コレも嫌って…」
「だって、後ろ向いたらアンタの顔が見えないだろ」
切羽詰った顔でそんなコト言われたら…
俺の方が我慢きかなくなっちまった。
スコールの男にしては細い腰を掴み、引き下ろす。
ズブッと先端が潜り込み、驚いたスコールのバランスが崩れ…
そのまま一気に根元近くまで蕾の中に飲み込まれた。
「うぁあ…サイ…ファ!」
「くっ!」
直後に熱く強烈な締め付けが襲ってくる。
スコールも辛そうな顔をしてるが、俺も相当キツイ。
何とか震える手でスコールのモノを掴み、刺激を与えすぎない程度に擦ってやると、少しずつ力が抜けてきた。
「ふ〜、オマエ…絞め過ぎだ」
「少し…ぐらいじゃ…潰れないんだろ?」
「憎まれ口だけは達者だが、これからどうすんだ?」
「これから…」
「自分でヤルんなら、自分で動かねぇとなぁ?」
すでに身動き出来ない状態なのは見て判る。
俺は「よっ」と身体を起こし、スコールの腰を引き寄せた。
更に深く楔を打ち込まれたスコールが、仰け反るのを両手で支える。
「あ…あっ…勝手に動くな」
「強情っぱりめ。動けねぇんだろ?自分でやんのは、また今度にしろよ」
「次は…もう…ないかも」
「じゃあ、今のうちに堪能しとくぜ」
腰を突き上げると、スコールが呻いた。
閉じた目尻に浮いた涙を舐めとると、震える様な吐息が漏れた。
躊躇いがちに開いた瞳と目が合う。
どちらからともなく唇が引き合うように重なった。
スコールの舌を追いかけ絡ませると、繋がった場所がヒクヒツ蠢いた。
今回が2度目のせいか、すぐに痛み以外の感覚を掴み始めたようだ。
突き上げる速度を上げ、スコールを攻め立てる。
振り落とされないように俺の首に両腕を回し、肩口に顔を埋めていたスコールの呼吸が熱く早い。
「ああ…サイファ…もう…」
それが合図のように、スコールの中が痙攣し収縮した。
俺もその締め付けに逆らわず、奥の肉壁に男の精を解き放った。
**********
本当はもっと××で▲▲なシーンが続く予定でしたが、根性なくて途中で力尽きました。
オイラこのシリーズの為に『官能小説用語 表現辞典』っていう本を買っちゃったアホなんだぜ(笑)
でもアレだ。
ノーマルカップルの表現だから、あまり参考にならんのね(汗)
2008.11.09