2003.04.02更新

ライン

昨日、サイファーに告られた。
全てが終った後で、サイファーが連れ戻されて…その日の夜、俺の部屋に訪れたサイファーに突然に『好きだ』と。
本当に突然すぎて、俺は『NO』とも『YES』とも言えなかった。
そんな俺を解っているとでも言うように、「後で答えを聞く」と昨晩はそのままサイファーは立ち去った。
その本人は幸か不幸か俺の傍にはいない。
魔女に操られていた為、魔女の騎士になって世を騒がせたことは不問となったが、懲罰室を脱獄し、俺達の任務の邪魔をしたということで20日間の懲罰室行きが決定した。
その決議に反抗すると思われたが、あの男は何も言わず、暴れることもなく大人しく従った。

俺の横をすれ違う時、俺にだけ聞こえる声で『20日後、返事聞くからな』と言い残して。

| 遊  戯 |


落ち着かない。
ベットでゴロゴロしながら苛々と爪を噛んだ。
懲罰室に入っているのはサイファーなのに、俺のほうが執行猶予を突きつけられたみたいだ。


「20日でどうやって答えをだせって言うんだよ?好きだって言われても…俺は男だぞ…」


まさか俺をオンナだと勘違いして…
いくらなんでも、その辺はちゃんと認識してるよな?
あの夢見がちな脳みそでは誤認識もありえなくはない。
昔の記憶がほとんど戻ってきたから分かることだが、サイファーは特撮ヒーローになりきって、高いところから飛び降りて怪我をする子供と同類だ。
思い込んだら一直線。
その集中力をSeeD試験に発揮していたら、とっくに合格していたはずだが…。
そういえば…そのSeeD試験で俺のことを『色気付いた兄ちゃん』って言ってたぐらいだから、ちゃんと俺のこと男だって理解してるわけだよな?
それじゃあ、本気で男の俺を?
NOと言うのは簡単だ。
サイファーだって俺が快くOKするとは思っていないだろう。
同性に告白するなんて普通じゃない。
たいていの人間はその瞬間に怒るか嫌悪する。
ひっかかるのは、そこだ。
俺は驚いただけで咄嗟に拒否する言葉も、罵る言葉も出てこなかった。
だから、きちんと考えよう。
自分にとってサイファーがどんな存在であるのかを。


もしも、俺がOKしたとして……男と付き合うなんて冗談じゃないが、あくまでも仮定として、だ。
付き合うとしたら、サイファーは俺と何をしたいんだ?
デート?
キスやSEXとかもしたいんだろうか?
サイファー、結構色んなオンナと付き合ってたからテクニシャンなのは間違いない。
キス…って、当たり前のことだけど、あの顔にくっついてる唇が、俺の唇に重なるんだよな?
しかも最初から舌とか入れてきそうだ。
しっかりと俺の腰に腕が回り、残った手で顎を持ち上げ…そして、サイファーの熱い舌が俺の咥内を縦横無尽に…
リアルな想像に、ゾクリと背中へ快感が走った。


「っ!!」


心臓ががバクバクする。
気が付いたら吐く息も早くて熱い。
そして何よりも、身体の中心が熱を持ちはじめている。


「嘘だろ?想像だけなのに…何で?」


例え想像だけでも、サイファーにキスされることに嫌悪感はこれっぽっちも沸かなかった。しかもその想像で、下半身が反応している。
相手は男なのに…?
試しにアーヴァインとゼルでも想像しようとしたが、気持ち悪くて途中で思考が拒絶する。
許せたのはサイファーだけだ。
その事実が指し示す意味。
身体は正直だ。
アレコレ頭で悩むよりも身体が答えを出している。
…サイファーを好きだと。
アッサリ答えが出てしまって困惑する。
というよりもショックだ。自分がゲイだったなんて…まだ、限定1人なだけマシだとは思うが。と、あまり慰めにならい考えにさらに落ち込む。
そういえば、思い当たるふしが多々ある。
オンナにあまり興味を持てなかった自分。
実際、リノアともキスのみで、とうとう清い仲で終ってしまった。
あの柔らかい体が自分に抱きついてきても、欲しいと思わなかったのだから仕方がない。
ただ単に自分は、性に対し自制出来ているのだと思っていたが…
エロ本が回って来ても、爆乳に何の興奮も感じず、回りの目をギラギラさせていた同じクラスの男達を心の中で馬鹿にしていた。
だが…変なのは実は俺の方だったんだな…。
オトコにキスされるの想像しただけで勃つなんて。
幸運(?)なことにも、サイファーもソッチの人間だということだ。


「でも…キスはいいけど…SEXとなれば問題有りだよな」


さすがに抵抗がある。
だけど、あの男がプラトニックで満足するとは思えない。
となれば、あの性格だ。
俺がOKしたその日のうちにでも、身体を求めてくるかもしれない。
オンナ役は…たぶん俺なんだろうな…。
あの巨体を押し倒して、アンアン言わせる気には全くなれない。
そもそも男同士で繋がる自体無理があるんだ。
繋がる場所がないのに無理やり有り合わせの場所に突っ込む非生産的な行為。
まさか自分がその対象になるとは思ってもいなかったが…


「待てよ…本当に入るのか?アレが…」


以前SeeDになる前。
偶然トイレで一緒になって、(見たくはなかったが)一瞬見えたサイファーのアレは当社比1・5倍。アレが戦闘時になったら…250ml缶ジュースよりも太くなるんじゃないだろうか?


「…マズイな」


そんなに広がるんだろうか?俺のあの場所が。
…いや。いつだったか、後ろのアレに腕とか突っ込むとかアホな話を聞いたことあるから、広がることは広がるだろう……たぶん。
が、それは熟練者(何のだ)だから出来ることで、最初からイキナリ腕から始めたワケじゃないだろう。
初心者の俺に、サイファーのアレを受けとめることがコトが出来るかどうか…

俺はゴクリと唾を飲み込み、ベルトを緩め後ろへ手を回した。
恐る恐る右手を下着の中に差し入れる。
自分でも見たことのない場所…中指で蕾を探り当て、その中心に指を突き挿れた。


「痛っ!!」


第一関節までしか入っていないのにこの痛み。
動かすどころか、これ以上中に進めるのも無理だ。
…指でこれだったら…
もう一度思い浮かべるサイファーのアレ。


「無理だ…このままじゃ、あんなのが入って来たら俺は……対策を考えないと」






翌日、俺の部屋に1つの箱が届いた。
送り状には“パソコン部品”と書いてある。
だが、中身は…
俺は緊張に震える手で、箱のテープを剥がしてエアークッションに包まれているものを慎重に取りだした。
部屋には1人きりだと分かっているのに、周囲に誰もいないコトを確認する。
エアークッションを乱暴に引き裂き、中から出てきたものは『電動バイブ』&『ローター』各種。
色も形もサイズもさまざまな、通称『大人のオモチャ』だ。
親切にも潤滑ローションがオマケで入っている。
昨日、対策を考えて思いついたのがアダルトサイトで売っている、ネット通販のオモチャだった。
サイファーを受け入れるためには、どうにかしてあの部分を慣らしておかなければ、痛い目にあうのは自分だ。


「これは自衛手段だ…俺はやましい事なんかしていない」


そう自分に再度言い聞かせ、電池を装着した。
すでにシャワーも浴びたし、バスローブの下には何もつけていない。
全て準備OK。
出来ていないのは心の準備だけで…自慰行為そのものが後ろめたいのに、こんな道具を使うのは更に勇気がいる。

緊張した面持ちで姿勢を正して正座しているスコール姿は、まるで切腹前の若大将のようだ。
ただし、目の前にあるのは刀でなく“大人のオモチャ”
なんとも異様な光景。

ピピピッ

その緊迫した寝室の空気を切り裂いたのは、単調な電子音。
そんなに大きくもない電子音に俺はビクッと飛び上がった。
なんてことはない、携帯のメール着信音だ。
俺はオモチャを放り投げ、携帯を手に取った。

≪メール:1件  送信者:サイファー≫

表示された文字にドキンとした。
そういえば、昨夜俺の携帯をいじっていたが、メルアド引き出してたんだな。
しかも自分の番号とメルアドをしっかり登録していってる。


「アイツ、懲罰室にいるくせに…携帯没収されなかったのか?…それにしても、何の用だ?」


自分がこれからやろうとしていたことを見透かされたようなタイミング。
複雑な気分でメールを開く。
文章自体は短かった。
だがその分、言葉1つ1つに気持ちがこもっていた。


『早く会いたい。会ってオマエと話したい。この手でオマエの存在を感じたい』


顔が熱い。
きっと赤くなっている。

サイファー…俺も会いたい。
告白されるまでは、こんな風に思ってなかったけど…。
ずっとライバルだと思ってたから。
でも、アンタのコトいつも気になっていた。
俺とバトルしてる時だけはアンタは俺以外は目に入らない。
だからいつも挑発に乗るフリをしてた。
どうしようもないな、俺。
本当はアンタに構って欲しかったんだ。

自然に手が俺の分身へと伸びていった。
軽く握りゆっくりと扱く。
アンタは俺をどんな風に抱くんだろう?
オンナと同じように?
それとも男だから優しさの欠片もなく荒々しく?
プックリと起ちはじめた胸の突起を残った手で刺激を与える。


「ふうっ…はぁ……はぁ」


きっと、こんなモンじゃない。
もっと強い刺激と快感を与えられる。
何も考えられないくらいに…

快感に震える手で、オマケとして付いてきたローションに手を伸ばす。
トロリとした液体を右手の指に垂らし、それを蕾へと迷いもなく導く。
昨日のように直ぐに指を入れようとせず、ローションを塗りこめるようにマッサージをする。初めての感覚にゾクゾクした。小さな蕾はローションのヌメリをかりて、少しずつ綻びはじめている。
媚薬入りなのか、塗りこめられた場所が熱く痺れてきた。
もう1度指にローションを多めに垂らし、今度はゆっくりと蕾の中に指を埋める。
今日は痛みもなくスルリと入った。
奥まで差し込み、何度か刺し抜きを繰り返し、指の数を増やした。俺しかいない寝室に、ヌチュヌチュと粘り湿った音が恥ずかしいぐらい響く。だが、恥ずかしさがよりいっそう快感を高めていく。荒い呼吸の間に、小さくあえぎ声が漏れるのを自覚しながら、もう自分ではどうすることも出来ない。
内部の刺激に勃ち上がった俺の分身の先端からは、止まることなく先走りの汁が溢れ出してくる。
そして指に慣れた頃、俺は朦朧とした視界の端に、放り投げたままのオモチャを引き寄せた。
コントローラースィッチから出ている2本のコード。
それぞれの先端にはピンク色の楕円状の物体が繋がっている。
大きさが微妙に違う。
俺は小さいほうのローターをローションで濡らし、俺の指で充分にほぐれた蕾へゆっくりと息を吐きながら沈めていった。
全てが中に入りきったところで、俺はスィッチのONにする。


「ああっ!あっ!あ〜〜〜っ!!」


飛び散る白い飛沫。
あまりの快感に俺の意識は飛んだ。
スィッチを入れて数秒も経たないうちに俺は簡単に達してしまった。
初めて受け入れた異物の刺激によって。


「はぁはぁ…どうしよう俺、こんなの初めてだ……クセになりそう?」


ノロノロと視線を巡らし、捉えたのは…
男根張り型“電動バイブ”
今の俺は誰にも止められない。
快感で白濁した思考で、そんなアホなことを考えながら、俺は自慰行為第2ラウンドへと突入した。
サイファーのメールに返信するをすっかり忘れて…


翌日俺は、自分の醜態に自己嫌悪に陥った。
思い出すだけでも暴れたいぐらい恥ずかしい。
それでも俺は…一晩で使い切ったオマケのローションを、今度はお徳用大ボトルで注文するのだけは止められなかった。





***********************************************************************






「サイファー、ちょっと待て。いくらなんでもそれは無理だ」
「この状態で待てるはずねぇだろ!?」


目の前にあるのは、天に向かって反り返ったナニ。
その大きさは尋常じゃない。
出所…いや、懲罰室から出てきたサイファーは自分の部屋に戻らず、俺の部屋に直行してきた。
約束どおり、俺の気持ちを伝えると、悲しいくらい予想通りにベットイン。
サイファーの想像以上の愛撫に俺は乱れに乱れ、そしてサイファーの想像以上のソレに恐怖した。
250mlの缶ジュースどころか、500mlのペットボトルぐらいの太さはあるんじゃないのか!?


「アンタ、その大きさは凶器だろ!」
「へへっ。羨ましいだろ?子供ん時から孤児院メンバーの男ん中でも俺が一番ビックだったからなぁ?オマエ等みんな悔しがって大きくなる秘訣とか聞いてきやがってよぉ」


幼い頃…そんなどうしようもない事を皆で聞いたような気がする。
それに対し、嘘ッパチな情報を俺達に教えて、それを実行した無知な子供時代。
思考がトリップしそうになって、その隙に腰を進めようとするサイファーを慌てて押しとどめる。


「確かに羨ましかったけど!!でも、モノには限度ってもんがあるだろ!?」
「育っちまったもんは仕方ねぇだろ。いいから早く挿れさせろ!」
「俺が見た時はそんなに大きくなかったぞ?」
「はぁ?いつ見たんだよ?」
「えっと…2年前の冬、雪山訓練で」
「オマエさぁ…そりゃ寒さで縮んでたたけだ。オマエも男なら解るだろ?」
「う…」


男同士の会話。
その男同士でナニをしようとしてるのか…
俺も焦っていたかもしれない。
何度も俺と繋がろうと試みるサーファーを阻止し、


「待て!あと2週間待て!あと二回り細ければこの20日間で慣らしてたからなんとかなったけど、今回はまだアンタと繋がるのは絶対に無理だ!!」
「ああ!?どう意味だ、そりゃ!?俺の他にオトコがいるのか!?」
「いるワケないだろ!!」
「じゃあ、どうやって慣らしてんだよ!?」
「それは…」


言えるわけない。
サイファーを受け入れるためにオモチャで慣らしてました…なんて。
恥ずかしすぎる。


「なるほど。俺以外ともやってたんだな…伝説のSeeD殿は随分と淫乱でいらっしゃるわけだ。どうりで抵抗が少ないと思ったぜ!」
「ち、違う!男となんか寝るものか!…アンタ以外は冗談じゃない」
「じゃあ、“二回り細ければ”とか“慣らしてる”とかどういう意味だよ?」
「…どうしても言わなきゃ駄目か?」
「当たり前だ」


このまま誤解されるのだけは、どうしても我慢ならない。
仕方なく、おずおずとベットの下から隠していたオモチャ達を取り出す。
サイファーの顔を見れない。
恥ずかしくて恥ずかしくて、今何か衝撃を与えられたら心臓が止まってしまうんじゃないかってくらい心臓がバクバクしていた。
こんなモノを使っていたなんて、サイファーはきっと馬鹿にして嘲笑うかもしれない。
だが、サイファーは馬鹿にしたりはしなかった。


「疑って悪かったな」
「俺のこと…軽蔑しただろ?こんなモノを使って自慰行為なんかして」
「軽蔑なんかするかよ。俺と繋がる為に身体の準備してたんだろ?」
「…ああ…でも、アンタのが予想以上で…」


サイファーが俺を抱き寄せ、やさしく背を撫でる。


「男相手に言うのもなんだが、オマエって可愛いな」
「!!か、可愛い!?」
「なんかよー、オマエがそのオモチャ使って自慰行動に耽ってるの想像したら…ムラムラしてきた」
「離せ!これ以上は駄目だからな!アンタのソレは絶対入らない!!」


サイファーの熱く荒い鼻息が俺の首筋にかかる。
身の危険を感じ、サイファーから逃れよとするが、抱きしめる力を余計強くしてきて抜け出せない。それでも必死にもがいていると、サイファーはとんでもないことを言ってきた。


「じゃあ、そのオモチャ使ってるの見せてくれよ」
「は!?何言ってんだよ、この変態!!…そんなのやらせたら俺は舌噛んで死んでやるからな」
「オマエさ、ズルイぞ。やらせもしない、見せもしない、俺がこの状態でどんだけ我慢してるの分かってんのか?」
「アンタの下半身事情なんてしるか!元はデカ過ぎるアンタが悪いんだ!」


売り言葉に買い言葉。
口から出た言葉は元に戻らない。
「しまった」と思ったときにはすでに遅し。
サイファーのコメカミに青筋が浮いてきたのをリアルタイムで見てしまった。


「そうかよ…そ〜ゆ〜コト言うんなら、俺もオマエの穴事情なんて気にてやんねー」
「無理だって!いきなりそんな…俺、壊れる…」
「心配するな。俺様はやさしーからよぉ、ここに丁度いいモンがあるし、しっかり慣らしてからにしてやるさ」


そう言って嬉々としながら手にしたのは、俺ご愛用の大人のオモチャ。
咄嗟に逃げようとした俺の足首を、サイファーがガシッと掴み自分の方へと引き寄せる。
恐る恐る振り向くとやる気満々のサイファーが、片手でオモチャを操作しながらニヤリと笑った。
嗚呼…長い夜になりそうだ。






身体の中で、獣が暴れていた。
人の手によって作られた、男根を模った卑猥な機械。
その名もバイブレーター。

荒波のように押し寄せる振動と、掻き乱すような先端の回転。更に、幹の内部にはパールが仕込まれ、入り口付近を始終刺激をしている。
たっぷりと流し込まれたローションが、蕾から溢れて内股を伝い流れ落ちた。
それすらも敏感になった身体には快感の一部として認識される。


「くくっ。こんな風に濡れて溢れてくるとオンナみたいだな」


反論しようと振向く。
サイファーは俺を四つんばいにし、背を向け腰をがっちりホールドしている。
俺の視線を感じたのか、サイファーも振向きニヤリと笑う。
その笑いの意味を、身を持って理解する。
振動と回転を継続したまま、いきなりソレで抜き挿しを始めた。
もう反論どころではない。


「サ、サイファー!あっ…もう嫌だっ…ああっ!」
「まだまだ俺が入るにはキツイんだろ?ほら、もっとほぐしてやるよ」


そう言って今度はバイブの回転をさらに早めた。
強烈な快感。
だが…


「…じゃなくて…いい加減もうっ!」
「何だよ?続きを言ってみろ?」
「もう手ぇ離せっ!!」
「そうじゃねぇだろ?もっと具体的に言ってみろよ」


主導権はサイファーにある。
俺の中心はサイファーの手によって戒められ、ドクドク流れる先走りの液でその手を汚している。
嬲るだけ嬲って、まだ1度もいかせてくれない。
気が狂いそうだ。


「俺だってさっき寸止めさせられたんだぜ?」


そう耳元で低く囁き、そのまま首筋を舐められ、俺は普段絶対出さないような甘い声で鳴いた。
強すぎる快感は拷問だ。
特に開放を遮られていれば尚更。


「わかたから!…挿れても…いいからっ!…だから…いかせろよ!!」
「その言葉を待っていたぜ」
「あっ…あんた…なんかっ、最低だ!」
「今、最高に気持ち良くしてやるからよ」


サイファーがローションの容器に手を伸ばす。
が、逆さに振っても出口からは数滴しか落ちてこなかった。


「おい、無くなったぞ。ストックはあんのか?」
「…無い」
「ま、いいか。もうオマエのそこは濡れ濡れだし、俺のが濡れてなくても入るだろ」
「いいわけないだろ!いくら俺が男だからって最初ぐらいは労われよ!」
「ねぇモンは仕方ないだろ…っと、どうしてもっていうなら違う方法もあるがな」
「方法が早くあるならやれよ」
「やるのはオマエだ」
「は?」
「オマエのクチで俺のを濡らすんだよ」
「じょ、冗談じゃない!」
「勿論、冗談言ってねぇぜ。嫌ならこのまま突っ込むまでだ」
「…最低だ」
「どうする?」
「…」


もう、こうなればヤケクソだ。
俺は、俺を嬲って興奮したサイファーのモノを手に取り、口に運んだ。
大きすぎて先端部分しか頬張れず、側面は少しずつ唾液を塗りこめる。
鈴口から苦い先走りの液が出る頃には、さらに質量が増え大きく育っていた。
怖い。
こんなモノが本当に入るんだろうか?
恐怖を感じつつも、俺の秘部はその大きさに反応し、ピクンと内部が痙攣した。
緩い動きで固定され、挿入されたままのバイブの存在が強烈に物足りなさを感じる。

俺…もしかして、コレが欲しいのか?


「もう、いいと思うぜ?」
「サイファー…」
「心配するなって。最初だしな、ムチャクチャしねぇから」


ヒザ立ちになっていた俺をゆっくりと押し倒し、身体の中からバイブを引き抜いた。
そのまま俺の人工的な蜜で濡れそぼった蕾に、サイファーは怒張した凶器をあてがう。
その感覚に俺の身体は震えた。


「やっぱり怖いか?…どうして嫌って言うなら止めてもいいんだぜ?」
「怖い…でも、それ以上にアンタが欲しい」


サイファーが目を見開き俺を見る。
途端、顔に血が昇った。
俺!今、すごく恥ずかしいこと言わなかったか!?


「今のはナシ。聞かなかったことにしてくれ」
「いんや。しっかり聞いちまったぜ。こんな嬉しい言葉、なかったコトには出来ねぇなぁ?」
「サ、サイ!!…っああっ!!」


もの凄い質量が、身体の中にグイグイとねじり込まれた。
痛いというよりも苦しい。
時間にしては、ほんの数十秒だったかもしれない。
泣いて、叫んで、それでも侵入してくるサイファーに噛み付き爪で背を抉った。
永遠とも思えた侵略が止まり、俺はグッタリとし、サイファーの背に突き立てた指を下ろした。ゆっくり目を開けると、涙で目が霞む。


「大丈夫か?…全部入ったぞ。やっぱり痛ぇ?」
「あんまり…痛くない…さっきまで苦しかったけど…今は…」


今でもサイファーの大きさに、内部は悲鳴をあげているが、それでも身体の奥で疼きを感じた。
自分の中にサイファーがいる。  
しっかりとした存在感。
熱い…内壁の襞が歓喜してサイファーを締め上げる。


「くっ…すげぇ…俺のほうが先に撃沈させられそうだ」
「はぁ…バカ…ッヤロウ」


そういえば…あのローション、媚薬入ってたっけ。
俺が初めてなのに、こんなになってしまったのも、サイファーを欲しいと思うのも、みんな媚薬のせいだ。
きっとそうだ…。

苦しさと快感の間で俺はようやく果て、サイファーの飛沫を内部で感じ、そのまま意識を失った。






翌日、俺がベットから起き上がれないのをいいことに、俺に内緒で更にサイズの大きいバイブを注文しているサイファーの姿があった。









END






***余談***


「そういえば、アンタ懲罰室にどうやって携帯持ち込んだんだ?キスティスは持ち物検査とボディチェックをして何も持たせず独房に入れるって言ってたぞ?」
「決まってんだろ。オンナには触れない場所だよ。ま、触っても“変なトコさわるから興奮したじゃねぇか”てシラ切ればいい話だしな」


なるほど…この男は、そやって持ち込んだ携帯で俺に毎晩メールしていたのか。その内容に喜んでいた自分。
情けなくて涙が出そうだ。


「まぁ、そうなの。いいこと聞いたわ」
「へぇ?そんなトコロに隠してるなんてね」
「げ!キスティスとシュウ!!!」
「…いつの間に」


気配も音もなく背後に現れたキスティスとシュウに俺たちは驚いた。
衝撃から立ち直った。とういか、居直ったサイファーが女2人組に楯突く。


「聞いたから何だって言うんだよ?何なら次はじっくり触ってもいいぜ〜?」


サ、サイファー…次って、また何かやらかすつもりなのか…
俺はサイファーの子供じみた反撃に脱力する。
だがしかし、女たちは更に上手だった。


「いいえ。誰がそんなモンに触るもんですか」


サイファーが勝ち誇ったようにニヤリと笑う。が、次のコトバに、サイファーだけでなく俺までも言葉を失った。


「サイファー、君が次に懲罰室に入る時には、全裸で3回まわってもらって、尻の穴に何も入ってないか自分で開いて見せてもらうからな」
「全裸といっても、靴下とチョーカーはつけたままよ?」



勿論この後、サイファーが土下座して平謝りに謝ったのは言うまでもない。


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